●新型コロナウイルス感染症の事業への影響と対応(2020年7月31日現在)
■タイの現状
WHOから新型コロナウイルス感染症(以下:コロナ)の対策優等生と言われたタイでは、最初の感染者が出てから感染予防の様々な措置が講じられ、4月から休校、移動禁止、夜間外出禁止、生活必需品の販売以外の小売店・ショッピングモールなどの閉鎖、都市のロックダウンを断行しました。そのため小規模のビジネスを営んでいた人々のほとんどが失業状態となり、経済的に大きな打撃を受けています。移動禁止命令のため、隣県に住んでいるコーディネーターが支援しているコンケン県ノーンメック村へ行くことができなくなり、計画していた研修なども中止・延期になりました。村では、コロナ感染を恐れた人々や、工場での労働の時間短縮または休止になった労働者が、田畑で農作業することが増えました。学校に行けない子どもたちは、親が田畑へ連れていったり、バンコクに出稼ぎしている両親の元へ行ったまま移動禁止令が出て帰村できなくなったりしています。
■現地団体の対応
コロナ禍によって起こった村の大きな変化は、農業に目を向けなかった労働者世帯が、家族の自給のため、有機農業に関心を示し始めたことです。コロナの影響で自宅や田畑で過ごす時間が増えた村人は、ローカルスタッフの元を訪れ、種子をもらい有機農業の始め方を熱心に聞きはじめました。実家の農業に着目する人が増えたことは、今後の事業展開にも良い影響を与えるかもしれません。7月以降は、移動や外出規制が緩くなり、バンコクでも工場や商店が再開しはじめました。子どもたちも帰村し村内を行き来するようになりました。ローカルスタッフとボランティアは、状況を見ながら、8月から始まる新学期に向けて、子どもたちの支援を考えているところです。青年ボランティアの協力のもと、休校やオンライン授業を受けられなかったことによる学業の遅れや学習意欲を取り戻すために、英語の勉強や日常生活に役立つ知識の習得などができる子どもの居場所の再開を検討しています。
現地ローカルスタッフの家が放課後の子どもたちの居場所となっている